富士登山口のひとつ、御殿場口。
夏の 富士登山駅伝で 溶岩大地を 砂塵を巻きあげて 走る光景を ご覧になった方も多いでしょう。
あの大砂走りのある 登山ルートです。
標高1440mからスタートして、最高点 3776mまでを 7~10時間かけて登るルート。
古いことわざ?に、
「富士に登らぬ馬鹿。2度登る馬鹿。」
と、言うのが あったと思いますが、このルートが正に それに当ります。
10時間近くに及ぶ 単調な登り。
景色は ほとんど 変化しません。
目の前の大石茶屋を過ぎれば 次の休憩所 日の出茶屋(標高3000m)まで 4時間ほど、何もありません。
足場の悪い砂礫を 踏みながら ひたすら登るだけ。
空気が 薄くなり、呼吸がきつい。
何故、こんなつらい思いを・・・・
と、誰もが ちょっと 後悔します。
しかし、そんな 考えも 山頂に立てば 吹っ飛びます。
最高の風景が待っているのです。
そんな 御殿場口に 標識発見。
100年の計「富士に緑を返そう」です。
この辺りは、江戸時代までは、標高2500mの森林限界まで 豊かな 森がありました。
300年前の宝永山の噴火が 森を焼き払い 今の砂礫地に変えました。
この砂礫地を100年かけて 昔の森にかえそうと言う 運動です。
この運動にも 賛否両論あったそうです。
しかし、放置すれば、砂礫が崩落し、第二大沢崩れになるとも言われます。
乾燥に強い フジアザミと バッコ柳を 人の手で植えることで 自然を復活させるそうです。
最も 古い植林は 10年ほど前。
御殿場登山口に 近いところから 少しずつ 標高の高い所へ 植林がすすんでいきます。
森が 増え始めているのが わかります。
多くの植生や 昆虫が 見られるところも あります。
でも、それは、まだ ほんの一部。
これからの森の生長が楽しみです。
登山口から 15分ほどで、大石茶屋が見えて来ます。
9月から 来年6月までは 無人。
売り切れ御免の 自動販売機しかありません。
崩れやすい砂礫に 半分埋もれかかっていました。
来年のオープンまで さらに 砂礫に埋もれるのでしょう。
山頂が 綺麗に見えるようになりました。
頂上の左肩が 宝永火山の肩。
そのさらに 左側の二つのこぶが 双子山、または 二つ塚と呼ばれる 寄生火山。
この辺りまで来ると 植林は 行われていません。
300年前の噴火から 自力で 復活しようとする植生たちです。
大砂走りが見えました。
ここは、もう、フジアザミも まばらです。
山頂へと続く一本道。
登山者や 散策する観光客と すれ違いました。
軟弱な私は ここまでで 引き返します。
そして 標高2500mの 富士宮登山口へ向かったのです。
それは、次回のお話で。
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